既存添加物調製原材料への放射線照射に関する研究 ―殺菌効果・色素抽出効率―

URI http://cur-ren.cjc.ac.jp/metadata/740
FulltextURL
Title
既存添加物調製原材料への放射線照射に関する研究 ―殺菌効果・色素抽出効率―
Title Alternative
Studies on Irradiation of Ionizing Radiation in Raw Materials used to Prepare Existing Food Additives ― Decontamination Effect・Extraction Efficiency of Pigment ―
Author
著者 北島 葉子
著者(別表記) Kitajima Yoko
著者 高尾  奈津子
著者(別表記) Takao Natuko
著者 橋本 香織
著者(別表記) Hashimoto Kaori
著者 多田 幹郎
著者(別表記) Tada Mikiro
Abstract

 既存添加物調製原材料は,その目的成分が,熱,酸,アルカリ等に対して不安定であるため穏やかな条件で調製される。一方,それらの原材料には多数の微生物が付着している。従って,最終製品への微生物混入が避けがたく,そのため非加熱殺菌法として有用性が認められている放射線殺菌を施すことが望まれる。
 また,放射線を照射すると,汚染微生物の低減のみならず,物理的・化学的作用によって,食材の加工適性や物性が改善されることが知られている。
 そこで,本研究では既存添加物調製原材料(ベニバナ,エンジ虫)に,放射線(ガンマー線,電子線)を照射して殺菌効果を検証すると共に,エンジ虫に予め放射線を照射して色素抽出効率ならびに色素組成への影響を検討した。
 その結果,ガンマー線照射では,ベニバナ,エンジ虫の両試料共,5kGy以上の照射で殺菌が可能であることが確認された。電子線照射では,ベニバナで5kGy以上の線量で殺菌が可能であることを確認した。エンジ虫では5kGy照射では汚染微生物の残存が認められたが,10kGyの線量で照射することにより殺菌が可能であることが確認された。したがって,食品衛生上問題となる病原菌や腐敗菌の殺滅には,5kGyのガンマー線照射が必要であることが明らかとなり,5kGy以上の線量によるガンマー線照射は殺菌効果があると結論づけられた。なお,電子線照射による殺菌効果については更なる検討が必要である。
 また,試料への放射線照射によって色素抽出量が増大することが認められた。
 コチニール色素を製造基準に準じて色素抽出(75℃)を行った場合,ガンマー線照射試料では,色素抽出量が 24%,37%と増大が認められた。電子線照射試料の場合では,18%,21%と増大した。
 続いて,コチニール色素を製造基準に則して色素抽出(85℃)を行った場合,ガンマー線および電子線照射試料共に非照射試料と比べて5kGyで約10%色素抽出量が増大したが,10kGy,30kGyでは低下傾向を示した。
 これらの結果から,色素抽出効率に及ぼす温度の効果が顕著であることが明らかとなった。
 なお,色素組成への影響については,照射試料からの抽出液の吸収スペクトルのパターンはいずれも非照射試料からの抽出液のスペクトルと同一であり,照射によって色素組成の変化や他の色素分子への影響は無いと推察された。しかし,高線量の照射で色素抽出量が低下した原因として,色素分子が無色の成分にまで分解される可能性も考えられることから,更に検討が必要である。

Subject
490 Medical sciences. Pharmaceutics
Keyword
放射線殺菌
既存添加物調製原材料
色素抽出効率
ガンマー線照射
電子線照射
References

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Publish Date
2012-06-16
Publication Title
中国学園紀要
Publication Title Alternative
Journal of Chugokugakuen
Volume
11
Start Page
117
End Page
122
ISSN
1347-9350
NCID
AA11806598
Publisher
中国学園大学/中国短期大学
Copyright Holders
中国学園大学
中国短期大学
Contents Type
Departmental Bulletin Paper
language
Japanese
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